| 耕三寺 |
| 概要 |
東京の方では全然知られてないですが、広島辺りでは「西の日光耕三寺」と呼ばれて相当有名です。 ここ耕三寺は珍しいお寺で、生口島出身の耕三寺耕三氏が、大阪で大口径特殊鋼管の製造会社で財を成したあと、僧籍に入り、女手一つで自分を育ててくれたお母さんを弔うため、昭和11年から建造がはじまり、太平洋戦争をはさんで、完成までに35年かかりました。浄土真宗。 耕三寺耕三ってすごい名前だけど、本名かな?苗字が耕三寺ってことはもともとお寺の家だったのかな。気になる。 前日、お隣の大三島に泊まったのですが、こっちの生口島(いくち島)にすれば良かったと後悔しました。今度また行きます。 |
アクセス |
新尾道からバスが一番行きやすいでしょう。三原駅からフェリーも出ています。 |
写真 |
![]() | お隣の大三島から瀬戸大橋を渡って生口島におりてすぐのところに。こんなに丸々太ってないでしょ。
|
![]() ![]() | 松永真,「千里眼 〜のぞいてみよう、瀬戸田から世界が見える〜」,2002。 「島ごと美術館」という名前で、生口島の瀬戸田町には17点の野外彫刻が展示されています。アーティストが設置したい場所を自分で決めてます。
|
![]() ![]() | 山口牧生,「ねそべり石」
|
![]() | こういう野外彫刻には必ずありますね。宮脇愛子,「うつろひ」
|
![]() | このお寺が他とどう差別化しているかというと、京都御所の紫宸殿の御門、奈良法隆寺の西院伽藍、清水寺、奈良の新薬師寺の鐘楼、奈良の室生寺の五重塔、大阪の四天王寺の金堂、日光東照宮陽明門、平等院鳳凰堂などなど、歴史的建造物を、当時の色彩で再現していること(そのままでなく少し手を加えている事が多いです)。今では静かで質素な禅寺みたいな京都の三十三間堂だって当時は色彩豊かだったわけで、もともと日本のお寺の殆どがタイのお寺のようにカラフルです。日本のcreativeな歴史が育んだ色彩を見れるだけでも楽しい。それに、よく考えると、例えば安藤忠雄の建築を再現したらただのパクリですが、1000年前の建造物を再現しても、そういう創造性という意味では全く問題ない。違和感なく受け入れることができます。 でも、新規建造物だけでなくて、打ち捨てられていたであろうお地蔵さんを集めていたり、興福寺から重要文化財の仏像を譲り受けていたり、伝統的なところもきっちり押さえています。
|
![]() | そして、なんといってもこのお寺を際立たせているのがその出自。ビジネスで成功した耕三寺耕三氏が、女手一つで自分を育ててくれたお母さんを弔うために作ったんです。 入口を入って振り返ると「世の母はみな観世音」なんていうフレーズが。ところどころにこういうシンプルだけど心に響くメッセージがあります。
|
![]() | 「あなたのお母様の尊像を敬造して居ります。内に入って拝んで下さい。」 こんな事かかれるとね、うちの母ちゃん元気かな、とか思うわけですよ。
|
![]() | テーマパークだからちゃんとイベントもやってます。この日はお茶会。
|
![]() | 「杭谷一東」による大理石の現代彫刻庭園「未来心の丘」が併設されてます。
|
![]() | なんというのか、ちゃんとまじめに作ってる、という雰囲気があって、例えば、千仏洞地獄峡っていう洞窟を作ってるんだけど、その洞窟の出口の階段を上っていくと、高さ10メートルぐらいの観音様像が足元から見えてくる、とかね。末端まで意識が浸透していて、働いている人に何人か声をかけたんだけど、「自分は、開祖がお母さんのために作ったお寺で働いている」っていう心地よいプライドを感じます。芯が通ってると思います。
|
![]() | 宗教の持っているvalueを活用しながらも、宗教臭くない、というところがポイントです。 「拝観料」ではなく「入館料」としているところも、テーマパークであることを意識しているのではないでしょうか。浄土真宗のお寺だけど檀家はいなくて、基本的に入館料収入がメインです。
|
![]() | 全国のお母さん垂涎の的、潮聲閣。 ここ瀬戸田に住んでいたお母さんの老後の生活のために、建築した書院。一見質素に見えますが、何から何まで豪華、というより、いいものを使ってる。これは化粧台。
|
![]() | ちょうどその時読んでた宮崎駿の「風の帰る場所―ナウシカから千尋までの軌跡」っていう本の中で、面白い事を宮崎監督が言ってました。
「エンターテイメントっていうのはなにかって言ったら、間口が広いことですよ。敷居が低くて、誰でも入れるんですよ、入ろうと思えば。」 そう、耕三寺はまさにこれなんです。ちょっと出口が高くなったテーマパーク。僕もこんなのやりたい。もうかってそうだし。
|
![]() | 耕三寺への商店街の入口の歴史民族資料館でもらった「生口島 高根島 島゛んマップ」 ここまでよくできてる観光マップは初めてみました。どこがよくできているかというと、一言でいうと、「ここに一日滞在(ぶらぶら)してもいいかな」と思わせること。デザインだけは立派でも、中身はカスカスな観光マップが多い中、この地図のレベルは群を抜いています。 何が良いかというと、 @情報量が圧倒的に多い A見やすいようにインターフェースの出来が良い B外部と内部と両方の人間が関わっている C地元の人間を多数活用しているため、その地図に思い入れがある、プライドがある。 そこのおじさんに、「この地図よくできてますね〜」と声をかけると、嬉しそうに自分が作った地図だということを自慢してきました。こういうのいいじゃないですか! 地元の人に、観光するのにどこかいいとこないですか?というと、有名な神社とか美術館とか以外は、何もないと言われる事が多いですが、実際には観光資源がたくさん埋もれていることが多いです。この地図作成には内部と外部の双方が関わっているため、外部の人間が面白いと思う切り口で、地元だけが知っている細かい情報(=観光資源)を切り取っているため、埋もれた観光資源を観光マップに落とし込むことが可能となっているわけです。「八幡神社の前の雁木を降りると、海の中に浄めの石がある。初詣には必ずこの石に溜まった海水で額を浄める習わしがある。」とかね。 この地図作成のプレーヤーは、地元住民、地元自治体、瀬戸内しまなみ大学、国土交通省、の4者のようです。地図を見ると瀬戸内しまなみ大学の授業としてinitiativeをもって作られたような雰囲気ですが、地元の人の話を聞くと国土交通省が資金提供しながらリーダーシップをとっていた様子でした。たぶん、国土交通省の委託を受けたどこかの業者で、すげーcreativeな会社があったのかな。「瀬戸内しまなみ大学」もユニークな存在で、実際は大学ではなく、入学金500円で入学できて、「しまなみ海道をキャンパスに、誰でも自由に参加できる生涯教育・交流の場です。瀬戸内で育まれた歴史や文化、豊かな自然などをテーマにした地域の個性ある講座」とあります。瀬戸内海の各市町村観光課の集合体みたいな感じ。 この観光地図はただのアウトプットで、瀬戸内しまなみ大学、(今回いけなかった)シトラスパーク瀬戸田、耕三寺、島ごと美術館、平山郁夫美術館とか、そういうのをセットにしたまちづくりが成功してるってことじゃないでしょうか。耕三寺だって相当ユニークだし、単体では成り立つはずがない。ユースホステルまであるし。
|
![]() | 生口島を出るところで、来るときに見たのとは違う猪を発見。ズームで撮影したのでわかりにくいけど、やせててスポーティヴでした。
|
![]() | このあたりの瀬戸内海の島々をつなぐ「しまなみ海道」は自転車用によく整備されてますね。日本で一番のサイクリングロードなんじゃないでしょうか。この写真は生口島じゃなくて大三島。
|
![]() | 帰る頃にはすっかり日が暮れてました。
|
![]() ![]() | 瀬戸大橋のおかげで瀬戸内海の島々を結ぶフェリーはすっかり寂れてしまいました。そんなフェリーの港で、なかなかな空き缶入れ発見。
|
![]() | やっぱり島に行くのにバスなんて味気ない。フェリーがいいですね。
|
![]() | こんなところにありました。ひょっこりひょうたん島のモデル。生口島からよく見えます。
|